休職は労働基準法によって定められた制度ではなく、会社によって休職が認められる期間や、給与の支払いなどは異なります。
そのため休職を考える際は、就業規則をしっかり確認する必要があります。
本記事では、一般的な休職について解説します。
休職とは
休職とは、病気や留学など、従業員の自己都合により、雇用関係を維持したまま会社を休むことです。
会社の許可を得て、労働の義務が一定期間免除されます。
近年は適応障害やうつ病など、精神的な不調により休職する人が珍しくありません。
欠勤とは、労働の義務があるにもかかわらず会社を休むなど、労働を提供していない場合です。
「労働の義務が免除されるかどうか」が、休職と欠勤の大きな違いになります。
会社によっては、一定期間を欠勤扱いにしてから、休職へと移行するところもあるそうです。
休職の期間は人によってさまざまで、短いと1か月以内、長いと1年以上になることもあります。
心身の不調などによって仕事を続けることがつらい場合、症状がひどくなる前に一度休職を考えてみてもいいでしょう。
なお、会社に連絡をしない無断欠勤は、評価ダウンや解雇などのペナルティが課せられることもあるので、できるだけ避けましょう。
休職までの流れ・手続き
ここでは一般的な休職までの流れを説明します。
会社によって必要な手続きは異なるため、就業規則を確認の上、会社の指示に従いましょう。
病気やけがで休職する場合、
- 管理職の上司や人事に申し出る
- 病院に行き診断書を発行してもらう
という流れになることが多いです。
どちらが先かは、体調や職場の人間関係、休職への理解度などによって変わるでしょう。
上司に相談すると、産業医との面談をすすめられるケースや、病院に行き診断を受けるよう指示されるケースなどが考えられます。
休職をするには、医師による判断ということで、診断書が必要になることがほとんどです。
診断書の発行は保険適用外のため、数千円から一万円以上かかることもあるので、事前に確認しておくと安心です。
診断書を入手して報告をしてからの手続きは、会社からの指示に従います。
一般的には、診断書とともに「休職届」を提出する場合が多いようです。
可能であれば手続きの際に、給与やボーナスがどうなるか、休職中は誰にどうやって連絡をすればいいかなどを確認しておくと、安心して休職することができます。
休職中の給料・社会保険料
会社は休職中の社員に対して、給料を支払う義務がありません。
よって、休職中は給料が支払われないケースが多いです。会社によっては、独自に一定の割合だけ支給してくれる場合もあります。
ボーナスも同様に、全く支払われないか、少しだけもらえるといったケースが多いでしょう。
休職中は通院などでお金がかかるので、会社の就業規則をしっかり確認しておく必要があります。
また、休職期間中であっても、住民税・社会保険料を納めなければなりません。
これまで企業が給与天引きで納めていて、休職中に給与の支払いが発生しない場合、会社から支払い請求が届く可能性があります。
傷病手当金とは
休職中に給与の支払いがない場合、生活費はどうすればいいでしょうか。
一定の条件を満たすと、傷病手当金を申請できます。
これは健康保険による手当で、傷病などにより働けない労働者の生活を保障してくれます。
傷病手当金を受給できる条件は、以下の通りです。
- 業務外の病気やけがで療養中であること (美容整形など手術は対象とならない)
- 療養のため就業不可能であること
- 4日以上仕事を休んでいること
- 給与の支払いがないこと (給与が一部だけ支給される場合は、傷病手当金から減額して支給)
詳しい条件は、全国健康保険協会のサイトで確認できます。
会社から給与をもらっていなければ、だいたい標準月額報酬の3分の2程度が支給されます。
直近12か月で、平均月20万円の報酬をもらっていた人は、だいたい13万円くらいの計算です(あくまで目安なので、条件によって変わります)。
休職中の過ごしかた
休職中は、普段よりも時間に余裕があるので、様々な過ごし方が可能です。
病気で休職した場合、体調を整えることが第一なので、自己判断は避けて医師の指示に従うようにしましょう。
一般的に、休職直後は何もせずひらすら休んで、心と体を整えます。この時期は生活リズムを気にせず自由に過ごして、負担の大きな作業はなるべくしないようにします。
調子が良くなってきたら、毎朝決まった時間に起きる、運動をする、外出をしてみるなど、徐々に生活リズムを戻していきます。
心身ともにある程度回復したところで、出勤時間に合わせてカフェで作業をする、リワーク(職場復帰支援)プログラムに参加するなど、復帰に向けた準備を行います。
休職中は不安がつきものなので、趣味を楽しんだり、コーヒーを淹れてみたり、甘いものを食べたりと、自分なりのストレス解消法を見つけておきましょう。
休職中、会社への対応
休職中は治療に専念しますが、1週間に1度など、定期的に会社から連絡が来ることがあります。
これは体調確認のほか、今後の意向の確認、休職者を孤独にさせないために連絡をしている場合が多いですが、それが精神的負担になって回復が遅れるようでは元も子もないので、ベストな方法を探しましょう。
電話が難しければメールにする、1週間に1回が苦痛なら2週間に1回にするなど、主治医や担当者と相談しながら、少ない負担で連絡を取るようにします。
こうした定期連絡を重ねながら、復職のタイミングを探ることが多いです。
復職が難しければ正直に伝えて、休職期間を延長してもらうほか、場合によっては退職をしたり転職をしたりすることも考えられます。
大事なのは自分の体調を回復させることなので、休職中はなるべく無理をしないほうがいいでしょう。
復職する場合の流れ
体調が回復して、復職の意思が固まったら、医師と相談します。
担当医のアドバイスのもと、会社の担当者とも面談を重ねて、復職の準備をします。
その際、医師による復職可能の診断書を求められるケースがあるので、回復していないのに復職を申し出ることは避けましょう。
必ず医師と相談して、必要に応じて部署異動やリハビリ期間を設けてもらうなど、安心して働ける環境を整えていくことが、復職の成功につながります。
調子が戻っていないのに無理に復職をしては、再度休職することになってしまうかもしれないので、あせらず着実に進めます。
復帰してから長く働けるように、医師や会社と協力しながら、復帰するための準備をしっかりと行うことが重要です。
まとめ
休職とは、病気など社員の自己都合によって、会社から労働を免除されている状態のことです。
体調が悪い場合は休職をして、重症化する前に治療に専念する選択肢があります。
その際は、病院で診断書をもらい会社に連絡します。
休職中に給料が支払われなければ、傷病手当金を申請することができます。
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