会社を休職することになった場合、その後しっかり回復するためには、休み中の過ごし方が重要です。
体調不良によって労働を免除されている休職中には、控えた方がいい行動があります。
本記事では、休職期間中の過ごし方について気をつけるべきポイント、してはいけない行動を紹介します。
前提として、そもそも休職の制度が会社によって異なるため、自分の会社の就業規則を確認することが大切です。
自分でわからなければ、上司や人事に相談してみましょう。
本記事では、一般的な休職時の行動ルールをご紹介します。
確認しておくべきこと
休職中の行動制限があるか
きちんと療養をして体調が回復するよう、会社が独自にルールを定めていることがあります。
例えば「医師と相談しながら月○回以上の通院を継続してください」「○日以上の外泊は会社に相談してください」「休職中は飲み会の写真を公開しないでください」といったものです。
仮病をを疑われるような行動や、働いている他社員や取引先に見られて困るような行動はしないよう注意されることがあります。
トラブル防止のため、従うようにしましょう。
休職中の連絡手段と頻度
体調の報告は○○課長、給与関係のことは人事の○○さん、といったように、休職中に連絡をする担当者を決めておくと、話がスムーズに進みます。
会社によっては、休職者に定期的な状況確認の連絡をするところもあります。
その場合、適切な連絡手段(電話なのかメールなのか)や頻度(週1回なのか月1回なのか)をすり合わせておくと、互いにストレスが少ないです。
最長の休職期間
休職期間は医師の診断によって決めますが、必ずしも決まった期間で復帰できるとは限りません。
会社が定めている休職可能期間を超えてしまうと、退職せざるを得ないこともあります。
会社として、最長でどれくらいの期間の休職を認めているかを確認して、もし超えてしまった場合はどのような対応となるのかを聞いておきましょう。
休職中の給与
休職中、会社は従業員に給料を支払う義務がなく、一般的には給与の支給がありません。
珍しいケースですが、会社によっては独自の手当てが支払われたり、休職から2ヶ月間など期間を定めて給与を支払ってくれることがあります。
聞きにくいことではありますが、お金の心配をせずゆっくり休むために確認しておきましょう。
休職中に給与の支払いがない、または基準より少ない場合、条件を満たすと傷病手当金の申請ができます。
全国健康保険協会にあるように、
- 業務外の病気やけがで療養中であること
- 療養のため就業不可能であること
- 4日以上仕事を休んでいること
- 給与の支払いがないこと
といった条件を満たす場合、申請の手続きをすることで月給のおよそ3分の2の金額を受け取ることができます。
社会保険料の支払い
休職期間中も、会社には在籍しているので社会保険料を支払う必要があります。
これは会社と従業員が半分ずつ支払うもので、就労中は会社が給与から支払っているケースが多いです。
休職中に給与が支払われない場合、社会保険料の給与天引きができないので、どのようにして納入するか相談しましょう。
休職中にしないほうがいい行動
休職とは、主に体調不良などの理由で労働を免除されている状態です。
療養の目的に反する行動や、倫理観を疑われるような行動はしないように意識しましょう。
違反が発覚した場合、会社とトラブルになってしまう可能性があります。
アルバイトをする
休職中は、理由があって企業から労働を免除されている状態です。
働けない理由があるにもかかわらず、アルバイトを含む何かしらの労働をすることは、療養義務に反します。
給与以外の収入があると、確定申告で企業の担当者に気づかれる可能性があり、休職中によそで労働をしていたことが明らかになれば、信用を失ってしまいます。
最悪のケースでは、詐病として訴えられることもあります。
お金の心配もあるかもしれませんが、条件に当てはまれば傷病手当金を受給することができるので、自分が対象者かどうかを確認しましょう。
長期間の旅行
気分転換のために旅行をすることは、決して悪いことではありません。精神的な不調の場合、楽しい経験をすることによって回復が早まるケースもあります。
一泊二日程度の旅行や、温泉旅行などは申告せず行けることが多いです。
しかし、4日以上にわたるような長期間の旅行や海外旅行は、病気療養という本来の休職の目的に反してしまいます。
就労不能な健康状態にもかかわらず、長期間の旅行ができるというのは矛盾があり、詐病を疑われる可能性があります。
誰にも言わずに行けばバレる可能性は低いですが、万が一SNSや同僚などを通じて発覚してしまうと、会社から説明を求められ、最悪の場合は懲戒処分となる可能性があります。そして、客観的に就労可能な健康状態だと見なされてしまうと、傷病手当金の不正受給など大きな問題に発展する可能性もゼロではありません。
休職中は4日以上の旅行や海外旅行は、避けた方が安心です。
しかし、会社によっては上司が「海外旅行でも行ってリフレッシュしてきたら?」と勧めてくれるケースもあるようです。その場合は懲戒処分などの心配なく、堂々と旅行をして問題ありません。体力や気力の回復のために、医師が勧めるケースも問題ありません。
トラブル防止のため、長期の旅行は会社や医師の許可のもと、体調が悪化しない範囲で行くようにしましょう。
勢いに任せた判断
休職中は精神的に不安定な状態が続くため、衝動的な判断を下してしまいがちです。
「自分なんていないほうがいい」と思い込み、会社に退職を申し出たり、パートナーに別れを告げる、といった行動をとってしまう人もいます。
判断力が低下しているため安易に結婚や転職を決めてしまって後悔する方もいます。
今は気持ちがネガティブになっているだけと自分に言い聞かせて、後悔しないよう衝動的な行動をとらないことを意識しましょう。
医師や会社に嘘をつく
体調を良く偽ることも、悪く偽ることも、メリットがありません。
休職中はお金の心配があるため、体調が悪いにもかかわらず医師や会社に「体調は良好です」と嘘をついて早く復職しようとする人がいますが、おすすめできません。
症状を偽って復職しても、再度体調を崩してしまう事態になりかねないです。焦る気持ちもわかりますが、無理はいずれ反動が来ます。
反対に、休職期間を長めたいからといって、わざと体調が悪いふりをするのもやめましょう。医師は仮病を見抜いて、信頼関係が崩れてしまいます。
正直に症状を伝えた上で、「まだ復職は不安なのでもう少し休みたい」などと相談すれば、医師判断ではありますが、強引に復職を迫られることは少ないでしょう。
他にも、医師の言葉を捻じ曲げて伝える、都合の悪い事実を隠すなど、信頼を損なうような発言はしないよう意識しましょう。
SNSでの発信
注意しなければならないのが、休職中のSNSでの発信です。
SNSで発信してはいけないということではなく、匿名で自分の気持ちを吐き出したり、同じ状況の仲間と励まし合う使い方は問題なく、むしろ良い効果が期待できます。
しかし「個人が特定できるアカウントでの発信」と「発信の内容」についてはよく考える必要があります。
休職中にアーティストのライブに行った写真をアップしたら、同僚から上司に話が伝わり、仮病を疑われてしまったケースがあります。
好きなことをしてリフレッシュするのは全く問題ありませんが、普段の体調を知らない人からすると、元気なのにどうして休んでいるのだろう、と思われてしまいます。
会社と良好な関係を維持するためにも、休職中に遊びの投稿をするのは控えた方がいいでしょう。
また、当然ですが会社への文句や転職活動をしているといった発信も、自分の立場が悪くなってしまうので注意が必要です。
休職中にしてもいい行動
実家への帰省
実家に戻ることで療養に専念でき、回復が早まる人もいます。
実家への帰省は旅行とは異なり、長期間泊っても社会的に何の問題もありません。
会社によっては「○日以上自宅を離れる場合は連絡するように」と決めているところもあるので、長期で帰省をする際は報告の連絡を入れておくと安心です。
外に出かける
病院や買い物など生活のための外出、散歩やカフェ、趣味の教室に行ったりとリフレッシュのための外出は、基本的に問題ありません。
精神的にプラスの効果が期待できるため、積極的に外に出るのはいいことです。
しかし、ギャンブルや夜のお店といった休職中にふさわしくない外出については控えるか、発覚しないよう注意することが必要です。
飲み会に参加する
休職中でも、節度ある飲み会に参加することは問題ありません。
休職中は人と話す機会が減り、会社との関係性が希薄になってしまいがちです。人と話すことで気持ちが軽くなり、ポジティブになる効果が期待できます。
あくまで休職中なので、朝までオールをしたり、激しく飲んだり、写真を投稿することは控えた方が安心です。
また、服用中の薬によってはアルコールとの飲み合わせに問題があるので、医師や薬剤師に確認しましょう。
休職中の過ごし方、すべきこと
休職中にすべきことは、時期によって異なります。
ここでは一般的な過ごし方について説明しますが、自己判断は避けて、医師の指示に従うことが重要です。
休職開始直後
この時期は、何も考えずにゆっくりと休むことが大切です。
心身の状態が不安定なので、時間を気にせずに寝て、やりたいことをやって、負担が大きい作業はしないなど、とにかく療養を心がけます。
つい何かしなければと焦ったり、罪悪感を感じてしまうことがあるかもしれませんが、できるだけ考えないようにしましょう。
この時期にしっかり休んで体調を回復させることで、次の活動ステップにつながります。
休職中盤
休養の時間をを少し減らして、活動を取り入れていきます。
毎朝決まった時間に起きる、散歩などの軽い運動を行う、栄養バランスのよい食事をするなど、生活習慣を整えます。
まだ回復途中の状態なので、いきなりハードな運動はせずに、少しずつ体を慣らしていきましょう。
無理のない範囲で趣味を楽しむのも効果的です。
復帰前
復職や転職に向けた準備を始めます。
週に2、3日ほど、実際の出勤時間に家を出て、日中はカフェや図書館など外で過ごします。
読書やパソコンといった、実際の仕事に近い作業をすることで、平日の感覚を取り戻します。
自治体やクリニックが提供している、「リワーク(職場復帰支援)プログラム」に参加するのも効果的です。
医師や人事と相談しながら、仕事復帰に向けた準備をしていきます。
日記をつけて、その日の活動や体調を見返せるようにしておくと、相手にも伝わりやすく便利です。
まとめ
休職中の過ごし方は、休職直後→回復期→復職準備期と段階によって変わります。
休職中は普段と違って、長期間の旅行やSNSの使い方に気をつける必要があります。
本記事で紹介したのは一般的な例なので、医師や専門家と相談しながら、自分に合った過ごし方を見つけていきましょう。