心療内科・メンタルクリニックに初めてかかる際は、戸惑うことだらけだと思います。
わからないことはクリニックに問い合わせるのが確実ですが、ここでは一般的な初診の流れをご紹介します。
精神科、心療内科、メンタルクリニックの違い
精神科は、その名の通り「精神症状」を特に専門とします。
具体的には、抑うつ、不安感、イライラ、幻覚といった、精神に現れる症状です。
病名としては、躁うつ病、パニック障害、統合失調症などが該当します。
心療内科は、精神症状からくる「身体症状」を特に専門とします。
具体的には、ストレスによる腹痛、頭痛、動悸、不眠といった、身体に現れる症状です。
病名としては、過敏性腸症候群、緊張型頭痛、睡眠障害などが該当します。
メンタルクリニックは、精神科や心療内科を専門とする診療所です。
比較的受診しやすい雰囲気で、精神症状と身体症状を診察してくれる所が多いです。
歯科医院をデンタルクリニックと呼ぶようなイメージがわかりやすいかと思います。
上記3つの分類は絶対ではなく、「精神的治療」を行う点では違いがありません。
診察可能な症状については、病院のホームページを確認したり、実際に問い合わせて確認してみましょう。
どこを受診するか迷った場合には、ご自身は「精神症状」と「身体症状」のどちらが強いかを考慮して決めるとよいでしょう。
メンタル系の病院はどうしてもハードルが高い場合、まずは内科にやかかりつけの病院に相談して意見をもらうことで、行動しやすくなることがあります。
不調が続く際は、素早く医師に相談することが大切です。
病院の選び方
心の病気は通院期間が長くなりがちで、短くとも3カ月以上、長いと数年通うこともあります。
そのためまずは、病院は自宅から近く行きやすい病院を探すのがおすすめです。
経験のある先生に診てもらいたい場合は、「○○市 適応障害 病院」のように、ネットで医師の得意分野などを絞り込んで探すのもいい方法です。ネットに書いてある病院の口コミも参考になります。
他の診療科と比べて医師と話す時間が長いため、相性が特に重要になります。
有名な先生だけどちょっと言葉がきついな、1回の診察時間がもう少し長いといいな、などと感じる人もいるようです。
実際に受診してみて合わないと思った場合は、セカンドオピニオンを受けてみるのもいい方法です。
受診するには
ホームページを見て受診制度を確認し、初診の予約をします。
一人あたりの診察時間が比較的長いため、予約が必要な病院が多いです。
中には初診の受付は数カ月先、という病院もあります。
予約不要で受診できる病院もありますが、非常に混んでいることが多いので、時間に余裕をもって行きましょう。
病院によっては予約時に病状を聞かれることもあるので
- 症状(頭痛、動悸、落ち込み、不安感など)
- いつから(○カ月前から)
- 治療中の病気、服用している薬(あれば)
はすぐに答えられるようにしておくと安心です。
以下の例を参考に、該当する症状を確認しましょう。
《身体的症状》
・食欲不振
・めまい、吐き気
・胃の不快感
・倦怠感
・不眠
・動悸
・頭痛
・微熱
・耳鳴り
《心的症状》
・抑うつ
・イライラ
・気分の落ち込み
・興味関心の喪失
・人目が気になる
・涙が出て止まらない
・趣味を楽しめない
・集中力の低下
・自殺を考える
《行動》
・過度な飲酒
・過食 / 拒食
・遅刻 / 欠勤
・ミスの増加
・喧嘩
・身だしなみに気を配れない
予約時に持ち物や注意事項を説明する病院もあるので、電話予約の際は手元にペンと紙を用意しておくと安心です。
初診の流れ
初診時はカルテを書くことが多いので、予約の10~5分前に到着できると安心です。
問診を重視するため、30分~1時間30分程度かかることが多いです。
他の病院と同じように現金と保険証、必要があればおくすり手帳を持って受診します。
最初に以下の質問をされることが多いので、診察までに軽く思い出しておけると受け答えがスムーズです。
現在困っている症状:どんな症状がいつから続いているか
(例)1カ月前から頭痛と倦怠感が続き、気持ちが憂鬱で趣味をやする気力がない。2週間前からは幻聴が聞こえる。「使えない奴」という女性の声。
現在の生活環境:仕事とプライべートで置かれている環境、ストレスになっていることなど
(例)仕事はIT企業のエンジニアで、テレワークが多い。3カ月前に昇進し管理職になったが、責任が重く労働時間も増え、ストレスに感じる。妻と子供と同居していて、二人と話すのが唯一の幸せと感じる。
家族構成:両親や現在のパートナーについて
(例)父はタクシー運転手で生真面目な性格、母はパート事務で優しかった。
母は10年前にうつ病と診断されたが2年で寛解した。
妻は歯科衛生士で現在育休中、子供は二歳の娘が一人で、二人とも健康。
これまでの経歴:自身の生い立ちや学歴、職歴
(例)大阪で生まれ、10歳の時に東京に引っ越した。大阪弁をいじられることもあったが、友達と仲が良かった。大きな病気はなく、発達の遅れを指摘された経験はない。
偏差値50くらいの公立高校に進学し、サッカー部に所属した。○○大学○○学科に進学しプログラミングの勉強をして、従業員100名のIT企業に就職。そこで現在まで、エンジニアとしてスマホアプリの開発の仕事を続けている。
医師からの質問に答えてから、ご自身から言いたいことや質問をする流れが多いです。
「朝起きられないことに一番困っています」「通勤時に吐き気が止まらないのですが、会社を休職したほうがいいでしょうか?」「睡眠薬には依存性があると聞いたのでできれば飲みたくないのですが」など、率直な意見を伝えます。
医師も慣れているので、丁寧に疑問を解消してくれるでしょう。
診察の時間が長いので、伝えたいことを忘れないように紙に書いて持ち込むと安心です。
診察が終わったら、最後に医師もしくは受付と相談して次回予約を取って終了、となります。
その後は他の病院と同じように、支払いをして、薬局で薬を受け取ります。
まとめ
心療内科、メンタルクリニック、精神科は、最初は受診のハードルが高いかもしれませんが、特別なことはありません。
風邪をひいたら内科を受診するのと同じように、ストレスによる身体的な症状、精神的な症状があれば受診する病院です。
一度相談してみることで、いい影響があるかもしれません。早めの行動で、早期回復が期待できます。
受診が不安な場合はかかりつけ医に相談するところから始めましょう。
しっかり治療を受けて、体調を回復させましょう。