けがや病気で休職しているなかで、転職して新しいスタートをしようと決意することがあるかもしれません。
実は、休職をしながら転職活動をしている人は意外といます。
休職中の転職活動は法律的には問題ありませんが、復職のために療養することが本来の目的ですので、倫理的にはあまり推奨されません。
退職と違ってまだ企業に在籍している状態のため、現在の会社や転職先との間でトラブルにならないよう注意が必要です。
気をつけるべきポイントは、休職中に転職活動をしてもいい?にまとめています。
本記事では、休職中の転職活動を成功させるための選考対策について説明します。
休職していることを伝える?伝えない?
まず、休職中であることを伝えるか伝えないか方針を決めます。
伝えた場合のメリットは
・隠し事がないので堂々と活動できる
・転職後も配慮してもらうことができる
一方、デメリットは
・選考が不利になるケースがある
が最も大きいでしょう。
企業は健康な人に長く働いてほしいので、休職の履歴があるとどうしても選考が通りにくくなります。
同じスキルの応募者が2人いた場合、休職の経験がある人よりも、ない人の方が採用されやすいです。
企業が重視しているのは「入社後に問題なく働けるかどうか」なので、後に説明するポイントをおさえておくことで、採用の可能性を高めることができます。
一方で、休職を伝えない場合のメリットは
・選考が不利にならない
デメリットは
・休職がバレて問題になるケースがある
です。
選考が進んでから発覚した場合、これまで事実を隠していたことに不信感を持たれてしまいます。
場合によっては、選考中止や内定取り消しといった対応をとられてしまうこともあります。
また、内定が出てから入社手続きのために、年間の所得を示す源泉徴収票を提出したところ、明らかに所得が少なく、そこで休職が発覚するケースもあります。
自身で確定申告をすることで回避できますが、先月分の給与明細を提出するよう依頼されたりと、何かしらの問題が発生する可能性があります。
休職を伝えた場合と伝えなかった場合、両方のメリット・デメリットを考えたうえで、どちらにするか決定しましょう。
休職を伝えない場合の転職活動
この場合、選考から入社後まで徹底して隠し通します。
休職していることは履歴書に書かず、面接でも言いません。
明るくハキハキと受け答えをして、元気に働いている様子をイメージしてもらえるよう心がけます。
意外と忘れがちですが、転職エージェントを利用する場合は、担当エージェントにも秘密にします。
転職エージェントは、求職者ではなく企業からお金をもらっているので、企業が不利になる情報は開示されてしまう可能性が高いです。
どこから情報が漏れるかわからないので、現職の社員や友人も含めて、休職や転職の話はなるべくしないようにしましょう。
また、企業からの連絡には早く対応することが望ましいですが、平日昼間の連絡に毎回すぐに反応してしまうと、本当に仕事をしているのか、かえって疑われてしまうことがあるので気をつけましょう。
「自分がいま仕事をしていたら、どういう行動をするか」のイメージを持つことが大事です。
また、めったにありませんが、万が一「休職の経験はありますか」と質問されてしまった場合
- バレたら問題になる可能性も覚悟で「ありません」と嘘をつく
- 正直に「あります」と打ち明ける
の二択になります。
①は、後になって嘘がバレてしまうと言い逃れができません。入社前に発覚した場合は選考中止や内定取り消し、入社後に発覚した場合は社内処分を受ける可能性があります。
②は、詳しく理由を聞かれ、回答によっては選考が不利になることもあります。
いずれにしても、対応を間違うと不信感を持たれてしまうので、どうするか方針を事前に決めておきましょう。わざわざ休職の有無を聞くまでもないくらい、元気な受け答えを意識しましょう。
休職を伝える場合の転職活動(書類選考)
休職していたことを伝える際に重要なのが、「入社後は問題なく働ける」ということです。採用担当者は、せっかく採用したのに再度休職して働けなくなってしまうことを心配しています。
現在休職している理由と、再発防止策を伝えることで、安心して採用してもらいましょう。
選考は書類選考→面接(1~3回)→最終面接という流れの企業が多いです。
履歴書は特に指定がない場合、パソコン・手書きのどちらでも大丈夫ですが、パソコンで作成すると修正しやすく、一度の作成で複数の企業に応募ができるので便利です。
休職について記載する際は「〇年〇月から、○○により休職中」のように、正確な情報を記載します。
履歴書のフォーマットによって異なりますが、職歴や特記事項の欄に書くことが一般的です。
理由を書いておくことで、企業担当者に状況を理解してもらった上で面接に進むことができます。
例:2022年12月から体調不良のため休職中(病名を出したくない場合)
例:【特記事項】2022年12月1日より、適応障害により休職中です。医師からは、転職先での就労を認めると診断されています(2023年1月10日)。
可能ならば医師から診断を受けて、問題なく働ける旨も記載しておくと安心感があります。
休職を伝える場合の転職活動(面接)
書類選考を通って面接に進む場合、企業担当者はすでに休職理由を知っているので、そこからさらに深堀りされることが多いです。
休職者が面接で聞かれる可能性の高い質問を知り、回答を考えておきましょう。
休職の理由をできるだけ詳しく教えてください
これは企業が、「うちに入社しても同じように休職しないか?」ということを判断するための質問だと考えられます。
理由を正直に、できるだけ詳しく説明して、それならば大丈夫と納得してもらえるようにしましょう。
注意しなければならないのは、在籍している会社を必要以上に悪く言うと他責思考と思われ、かえって印象が悪くなります。
原因がブラック企業にあったとしても、感情的にならずに事実のみを伝えるようにしましょう。
テンプレート:「○○といった理由で、○○と診断され休職しています」
例「これまで4人いた社員のうち2人が退職し、仕事量が2倍になりました。忙しくて昼食休憩すらとれない環境で、月80時間の残業を4カ月続けたことにより、うつ病を発症し休職しております。」
といったように、数字を示すことで理解してもらいやすくなります。
休職中はどのように過ごしましたか
少し雑談のような質問ですが、しっかりと日々の生活を送れていることを確認する意味があると考えらえます。
治療をしつつ、活動的なこともしているとアピールしましょう。
テンプレート:「休職開始直後は○○、回復後は○○をして過ごしました。時間を活用し○○に挑戦しています」
例「休職開始直後は、通院をしながら自宅で安静にしていました。1カ月経つと体調が回復してきたので、医師の指導のもと、毎日のウォーキングと料理を日課としました。休職中は普段よりも時間があるので、簿記資格の勉強にも挑戦しております」
十分な休養をとったことと、復帰に向けた準備を進めていることを伝えられるといいでしょう。
今の体調はどうですか
これは、入社後に問題なく働ける状態であるかを確認しています。
メンタルと体調に問題がないことを、医師の診断など根拠を持って伝えましょう。
テンプレート:「体調は○○です。医師からは○○と診断を受けています」
例「3カ月間の療養によって、現在体調に問題ありません。医師からは、転職先での就労は可能と診断を受けています」
再発の可能性をどう考えますか
再発の可能性がどのくらいあるのか、それによって再度休職するリスクを知るための質問です。
再発防止策を伝えて、再度休職する可能性が低いことをアピールします。
ここでしっかり回答できないと、「採用しても再び休職してしまうのでは?」と不安を抱かれ、場合によっては不採用となってしまうので、特に準備が必要です。
再発の可能性がないこと、もしくは再発しても働けることを強調しましょう。
テンプレート:「再発の可能性はありませんが、念のため○○します。万が一再発したら○○します」
例「現在は完治し、医師から再発の可能性はないとのことですが、念のため入社後は最低3カ月・月2回の通院を続けます。不調を感じた際すぐに病院に行かなかったために重症化してしまったので、今後は調子が悪いと感じたらすぐに病院に行くようにし、万が一再発しても、軽症のうちに働きながら治療します」
それ以外は、普通の面接と同じように対策しましょう。
といった、よくある質問への回答はしっかりと考えておきましょう。
また行動面では
基本的を徹底することで、より評価が高まります。
まとめ
ここでは主に、休職を伝えて転職活動を行う際の質問と回答について説明しました。
企業は、採用した人材が短期で離職・休職してしまうリスクを避けたいと考えます。
想定外の質問をされた場合も、入社後に問題なく働けることが伝わる回答を意識しましょう。
安心して採用してもらえるような言動を心がけることが、転職活動の成功につながります。
人によっては、転職エージェントを活用することで、活動の質が向上することもあります。
できることから挑戦してみましょう。