休職中に資格取得をしてもいいの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
休職中の資格取得は、療養に影響のない範囲であれば問題ないことが多いです。
むしろ、復帰後のスキルアップのためにも、仕事の感覚を取り戻すためにも好ましい取り組みです。
体調不良による休職の場合は、無理な勉強によって不調が再発しないよう、医師に相談しながら取り組むことが大切です。
休職に縁のない方は、「資格勉強ができるなら仕事もできるんじゃないの?」と感じることもあるので、仕事に復帰するための準備作業と強調できると誤解が生じにくいです。
今回は、業種に関係なく転職でもアピールができる資格を中心に8種類の資格を紹介します。
IT系資格
ITパスポート
ITパスポートは、ITに関する基本的な知識を有していることを証明する、経済産業省認定の国家資格です。
平均勉強時間は100~180時間、合格率は50%前後で、幅広いIT分野を対象とするため初めてのIT資格取得に向いています。
資格を持っていると、仕事で必要とされるIT知識が身についていると見なされ、IT系企業はもちろん、パソコンを使う企業への就職で幅広くアピールできます。
勉強方法は、通信講座の受講や参考書での独学があります。
どちらもわかりやすい教材が多いですが、パソコン初心者の方はサポートの手厚い講座が安心な一方で、基礎的なパソコンスキルが身についている方は参考書で十分かもしれません。
有名な資格でテキストも豊富にあるので、まずは好きな教材を一冊読んでみるのがおすすめです。
- 汎用性:★★
- 勉強時間:100~180時間
- 合格率:50%前後
- 受験費用:7,500円(税込)
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
マイクロオフィススペシャリストは、アメリカのマイクロソフト社が提供しているOffice製品(Word、Excel、PowerPoint、Outlook)の使用スキルを証明する資格です。
勉強時間はスキルによって変わりますが、普段からWordやExcelを使用していれば10時間ほど、そもそもパソコンに慣れていない方だと80時間ほどかかります。
合格率は約80%と高めで、業務で使用するOfficeソフトの基本的な操作ができる証明になります。
事務や経理などパソコン作業が多い職種で歓迎されることがあるほか、Officeソフトは多くの職場で導入されているため、わかりやすいスキル指標として活用できます。
内容は普段の業務で使用するような基本的な機能が多く、Wrodで文字のフォントとサイズの変更、ExcelでSUM関数を使った合計値の計算といったレベルの問題も出題範囲です。
さらに上位の資格に、マイクロソフトオフィスエキスパートというものがあります。
基本的なパソコン操作はすでにマスターしている方や、よりハイレベルな資格を取得したい方は、エキスパートに挑戦してみてもいいかもしれません。
勉強方法は、通信講座の受講や参考書での独学があります。
- 汎用性:★★★★
- 勉強時間:10~80時間
- 合格率:80%前後
- 受験費用:1科目(Word/Excel/PowerPoint/Outlookのいずれか)10,780円(税込)
Python3エンジニア認定基礎試験
Python3エンジニア認定基礎試験は、プログラミング言語「Python」の基礎的な知識を証明する資格です。
Pythonは、初心者でも比較的理解しやすいプログラミング言語で、AIの開発やデータ分析を行うことができます。
勉強時間はIT知識があれば20時間ほど、未経験では60時間ほど見ておくといいでしょう。
合格率は約80%と高めで、Pythonの基本的な知識があり、簡単なコードを作成できる証明になります。
エンジニアに転職したい、プログラミング言語を学んでみたい、AIやデータ分析の分野に興味がある、といった明確な目的がある方に向いています。IT全般を学びたいという方は、最初に紹介したITパスポートの取得を目指すのが無難です。
勉強方法は、認定スクールでの講座学習、認定テキストと認定模擬試験による独学があります。
無料で模擬試験を受験できるため、独学でも取得しやすい資格と言えます。
- 汎用性:★
- 勉強時間:20~60時間
- 合格率:80%前後
- 受験費用:11,000(税込)
金融系資格
ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナー(FP)は有名な資格で、投資、税金、保険、不動産といったお金に関する基本的な知識を有していることを証明する資格です。
難易度が高い順に1級、2級、3級があり、まずは3級の取得を目指します。
「きんざい」と「日本FP協会」という2つの団体が、年に3回試験を実施しています。
試験日程が決まっているため、計画的な勉強が必要になります。詳しい日程については、日本FP協会公式サイトをご確認ください。
勉強時間は40~80時間、合格率は70%と高めで、保険、税金といったお金に関する幅広い分野について、基本的な知識を身に付けていることを証明します。
金融業界や保険業界への就職でプラス評価になる可能性があるほか、保険の見直しや投資の実践など、私生活でも役に立ちます。
勉強方法は、通信講座の受講や参考書での独学、ネットの試験対策サイト、動画サイトの無料解説等があります。
わかりやすい無料サイトや解説動画が多くあるので、これらを活用することでコスパよく学習することが可能です。
- 汎用性:★★
- 勉強時間:40~80時間
- 合格率:70%以上
- 受験費用:8,800(税込)
簿記
簿記試験には日商簿記・全経簿記・全商簿記の3種類があり、経理・会計の知識があることを証明します。
難易度が高い順に1級、2級、3級があり、ここでは最もメジャーな「日商簿記3級」について説明します。
簿記とは帳簿記入の略で、主に企業の収入や支出を帳簿に記入する作業のことです。企業の売上や設備等の購入額を正しく記録するために、簿記の知識が必要になります。
勉強時間は初学者だと100時間程度、合格率は50%前後と、これまでの資格と比べると少し難易度が高めです。
企業からのニーズは高く、経理の就職で有利になりやすいだけでなく、普遍的な知識としてどの職種でもプラス評価になりうる資格です。
資格を保有していること自体が評価にならない場合も、資格取得に向けて約100時間コツコツ努力することができる点がアピールポイントになります。
取得に時間がかかる分、保有できたら強い資格と言えます。
勉強方法は、通信講座の受講と参考書での独学がメインです。
丁寧な参考書が多いので、まずは気に入った本を買って一周してみるのがいいかもしれません。
計算が必要な問題が出てくるため、一緒に電卓も用意しておくと安心です。
- 汎用性:★★★
- 勉強時間:100時間前後
- 合格率:50%前後
- 受験費用:2,850(税込)
語学系資格
TOEIC(R) Listening & Writing Test
TOEICは合格不合格の試験ではなく、990点満点のうちスコア何点かによって英語力を表します。
TOEICにはいくつか種類がありますが、ここではもっともメジャーな「TOEIC Listening & Writing Test」について説明します。
合格不合格ではなくスコアを評価する試験のため、自分が何点を目指したいかによって勉強時間が変わってきます。
TOEICの点数の基準目安は以下になります。
400点:高校英語レベル。履歴書に書いても有利になりにくい
600点:簡単なビジネス英語レベル。履歴書に書いて有利になり始める
700点:会話やメールで問題なく意思疎通ができるレベル。海外拠点がある部署や、外国人とのやり取りが発生する部署などで必要とされる
800点:高度なビジネス英語でコミュニケーションができるレベル。社内の公用語が英語の企業で求められることが多いスコア
900点以上:ネイティブと流暢に会話ができ、ある程度の専門用語も理解できるレベル。英語の専門職にもつくことができるスコア
英語に自信がない方はまず、履歴書に書いて評価される可能性が高いラインである600点を目指してみてはいかがでしょうか。
勉強方法は、通信講座の受講、英会話スクールに通う、単語帳や問題集を使った独学などがあります。
会話力を強化したい方は、マンツーマンレッスンや対面授業など、実際に会話できる形態での学習がおすすめです。
汎用性:★★★★
勉強時間:目標による
合格率:なし
受験費用:7,810(税込)
ヘルスケア系資格
メンタルヘルス・マネジメント(R)検定
メンタルヘルス・マネジメント検定は、働く人の心の不調を未然に防止するための知識が身についていることを証明する資格です。
難易度が高い順にⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種があり、ここでは自信のストレスに気づき対処することを目的とする「Ⅲ種」について紹介します。
Ⅲ種はセルフケアコースという別名もあり、自身のストレスに気づき対処する方法を学びます。
勉強時間は10~20時間程度で、合格率は70~80%程度と、比較的取得しやすい資格と言えます。
社員の健康を管理する人事系部署で活用できるほか、メンタル疾患が原因で休職した人が資格を取得することで、再発防止策として役立ちます。
勉強方法は、通信講座、市販の参考書、公式テキストがあります。
数万円の通信講座を受講しなくても、公式テキスト(Ⅲ種は税込2,200円)が一冊あれば試験範囲を十分カバーできます。
安価に学習できて取得しやすい資格なので、より高度な内容のⅡ種やⅠ種の取得を目標にすることも可能です。
汎用性:★★
勉強時間:10~20時間
合格率:70~80%
受験費用:5,280(税込)
薬膳コーディネーター
薬膳コーディネーターは、「薬膳」を活用し、体の不調や美容にアプローチする知識を証明する資格です。
薬膳とは、中国の伝統薬学に基づき健康を促すための食事です。
冷え性にはネギやショウガ、疲れには卵やトウモロコシ、といったように、不調に対して適切な食材を取り入れることで改善をはかります。
勉強時間は30~60時間程度で、合格率はほぼ100%と、勉強すればほぼ確実に取得できる資格です。
飲食店や病院、介護施設などの就職でアピールできるほか、日々の食事に薬膳を取り入れることで、自身と家族の健康促進も期待できます。
勉強方法は、通信講座の受講になります。通信講座の受講後に最終試験があり、独学だけでは取得できないため注意が必要です。
通信講座は元AKB48の川栄李奈さんも資格を取得して話題になった、ユーキャンの薬膳コーディネーター講座が有名です。
汎用性:★
勉強時間:30~60時間
合格率:約100%
受験費用:44,000(税込、講座代込)
まとめ
以上、休職中におすすめの資格8種をご紹介しました。
休職中の資格取得は一般的に問題ありませんが、無理をして体調が悪化しないよう、医師に相談しながら進めましょう。
気になった資格があれば試験概要を調べてみたり、テキストを一冊買ってみることで、スキルアップのきっかけになるかもしれません。
生涯学習のユーキャンなどの資格講座を調べてみることで、自分が勉強してみたい分野が見つかることもあります。
休職を機会に色々勉強してみることで、人生の選択肢が増えるかもしれません。